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平成21年12月定例会・一般質問《質問日:平成21年12月14日》 …質問一覧のページに戻る

本県の目指すべき医療政策の方向について

質問 医療崩壊という言葉が言われて久しいところでございますが、救急患者のたらい回し、お産できる病院が無い、果ては医師不足による病院の廃止など、わが国の医療体制は至るところほころびが生じております。
 なぜ、こうした状況を招いてしまったのか、また、どうすべきなのか、連日のように報道機関などで目にするところでございます。また、昨今は診療報酬制度の見直しによる医師不足の解消や、医療の立て直しなどが活発に議論されておりますが、まさに議論百出であり、なかなか出口が見えない状況にございます。
 国には中長期的な展望を踏まえ、適切な医療政策の推進が望まれますが、国ばかりに頼っていたのでは地域医療を守ることはできません。県自ら責任と負担の下に、積極的に対策を講じていく必要があると考えます。急激な高齢化が進む本県にあって、今後必要な医療が本当に受けられるのか、また、医療面で安心して子育てできる環境が整備されるのか、県民の心配は尽きません。
 本県の医療の現状に目を転じますと、救急医療機関の減少に伴い、救急医療体制はどんどん弱体化し、周産期医療体制に至っては、一都三県でも残念ながら最低の水準にございます。また、人口当たりの医師や看護師数は全国最下位の状況にあります。こうした厳しい現実を行政として直視し、しっかりとした対策を講じていくことが望まれます。
 聞くところによりますと、本県はさまざまな事情から県立の総合病院が整備されず、行政指導により医療の核づくりを進めるのではなく、県立以外の民間病院などでやられてきたところがありますが、必ずしも十分な体制が進んでいるとは言えません。
 本県には高度専門医療を担う県立病院が4つありますが、病院局の経営努力もあり、19年度は77億円程度の税金の投入になっております。周りを見まして、千葉県では102億円、神奈川は155億円、東京に至っては391億円もの税金を県立病院、都立病院を維持するために投入しております。
 民間主導により医療体制の整備を進めている本県では、こうした面を考慮して民間への支援も一層強化すべきでありますし、どのような認識をされているのか。
 また、新たに医療体制を整備し、維持していくためには膨大な費用が必要になります。厳しい経済、財政状況が続く中、将来にわたり維持可能な医療体制としていくためには、新たな財源を含め必要な財源をどう確保していくか、極めて重要な課題であると認識しております。
 どのようにお考えいただくのか、以上、知事のご所見をお伺い申し上げます。

本県の目指すべき医療政策の方向について

答弁上田 清司 知事

 まずは、民間への支援の一層の強化でございます。
 わが国は、国民皆保険制度の下で、誰もが自由に医療機関を選べるフリーアクセスという、世界にも類のない医療制度を確立しておりました。
 しかし、高齢化の進展や医療技術の発展に伴い、国民医療費は増加し続け、今や年間34兆円を超え、誰がその医療費を負担するのかというようなことについての議論が錯綜(さくそう)しております。
 こうした中、医療提供サイドにおいては、医師不足や医師の偏在により、救急医療や周産期医療の分野を中心に、医療崩壊ともいえるような厳しい現実に直面をしております。
 私は、なぜこんなふうになったのかという基本的な原因は、診療報酬の度重なる引き下げや配分の偏りなどにより、産科や小児科など特定分野の医療が疲弊した、またそれをさせたというところに大きな原因があるというのを第一点に掲げております。
 2番目に、平成16年に導入された臨床研修制度が医師不足に拍車をかけました。
 かつては、医局を中心にその医局の先生たちの裁量の中で適正配分がされておったところですが、現在の制度の中では自由にどこにでも行けるということで、名前の通った、通うのに便利な大病院などに研修生が行かれますので、そちらの方だけが満杯で、地方においては非常に少ないといった、適正配分ができなくなってきている。
 ある埼玉県のお医者さんの話では、具体的な名前出して恐縮ですが、慶応大学の付属病院では大勢が研修している。従って、メスやはさみを握ることができない、多くの方が眺めるだけで研修が終わってしまう。こういう冗談を言っておられました。
 そうした意味においても、この16年度に導入された臨床研修制度の問題が大きな要因になっていると思っております。
 3つ目に、刑事責任も問われかねない訴訟リスクは、医師を萎縮させている。この3つが大きな原因で、今日の医療崩壊ともいうべき状況を生み出したのではないかというふうに私は考えております。
 そういう意味で、抜本的に、元に戻すところはしっかり戻すとか、そういうことが、国において求められているのではないかというふうに私は考えております。
 さて、議員ご指摘のとおり、本県の県立病院は、総合病院ではなく専門単科の病院として設置され、官と民の役割を分担しながら、医療体制の整備を進めてきたところでございます。
 また、本県は東京に近いこともあり、高度医療を中心に東京に依存してきたことなどから、結果として、医療体制の整備が十分ではなかったのではないかとう面もご指摘のとおりでもあると思っています。
 県立病院への税金投入額が近隣都県に比べて少ないのは事実でありますが、この部分では経営努力や地域の医療事情などの違いによるものではないかと考えておりますし、県立病院、専門単科ではございますが、それぞれの病院のランキングなどは上位に評価されているところもございますので、その部分ではそのなりの評価をしていいのではないかと思っております。
 また、十分な採算が取りにくい救命救急や周産期医療などの公的な役割を担っている民間医療機関に対しては、現在も支援しておりますが、今後も県の責任において、さらに支援するような道も考えなければならないと認識しております。
 次に、財源確保についてでございますが、県民の安全・安心の要であります医療体制の充実は、県政の重要な課題の一つであります。
 これまでも、ドクターヘリの導入、開業医による拠点病院の支援策やあるいは小児救急電話相談、いわゆる「♯8000」など、新たな取り組みを進めて、救急医療の充実を図ってきております。
 また、女性医師支援センターを開設したり、いわゆるカムバックナース事業により、女性医師や看護職員の復職を支援するなど、医療人材確保対策にも積極的に取り組んでいます。
 私は、今後とも、県民の命を守るという、このことは大変重要でありますので、さまざまな対策を織り込みながら、しっかりと取り組んでいく決意であります。
 また、恒久的に医療体制を安定させるためには、財源確保というのは避けて通れない課題であります。
 本県の医療の在り方などを検討する医療対策協議会からは、救急医療体制を維持するために、県民一人ひとりに毎月100円を負担していただき、財源を確保すべきという提言なども昨年いただいております。
 また、八都県市などを中心に広域的に検討していくことなども考えられています。
 安定的な財源を確保するためには、さまざまな方策があるかと思いますが、まずは医療関係者をはじめ、県民の皆様から幅広く意見を集約して、この恒久的な医療体制を安定させるための財源の確保、今お話に出ました、どのような形で県民の皆さんに負担していただくかということについても、改めて議論することが必要だと思っておりますので、早急にそうした体制づくりを図っていきたいと思います。

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