平成17年2月定例会・一般質問《質問日:平成17年3月1日》 …質問一覧のページに戻る
教育行政について -2.教育に関する3つの達成目標について-
インターネットの広範囲な活用などの高度情報化社会の到来など、子供たちを取り巻く環境が著しく変化している中で、私は、教育の役割として最も重要なのは、創造力を養い、社会を主体的に生きることのできる子供たちを育成することだと思います。
そのためには、私は常々、知・徳・体をバランス良く育てることが必要であると考えております。
知は学力、徳は社会のルール、体は体力・健康と置き換えれば、現在の子供たちを見ていますと、それらのいずれも、このままでよいのかと不安を隠すことはできません。
先般公表された国際的な幾つかの学力調査では、日本の子供たちの学力低下を認めざるを得ない結果が出ております。
文部科学省でも学力向上のための緊急な対応を迫られており、先日開会した中央教育審議会では、かなり抜本的な見直しについて審議がされると聞いております。
やはり学ぶための基礎基本となる力をしっかりと身に付ける指導を徹底してほしいと思うのが、県民、保護者の本当の願いであると思います。
また、青少年犯罪の増加に見られるように、子供たちに社会のルールがどれだけ身に付いているかという問題があります。
電車の中での声高な会話や靴のかかとを踏みつけて歩くスタイルなど、自分さえよければよいというのでは社会は成り立ちません。
私は、近未来の日本の社会を担っていく子供たちには、例えばあいさつやきちんとした言葉遣い、約束を守るなど、日常生活の最低限のルールはしっかりと教えなければ身に付かないものと考えております。
しつけは、押し付けの部分も必要であります。
さらに過日の新聞報道では、埼玉っ子の体力低下として、ボール投げや持久走、五十メートル走の記録が十年前と比べて低下しているとの結果が公表されました。
運動する機会をもっと増やしてやらなければ、運動を好きになる子供たちは増えてまいりません。
知・徳・体の成長には、学校における教育だけでなく、家庭の教育力も必要となります。
そういう意味からも、県教育委員会が策定し、すべての小中学校の保護者に配布し取り組む教育に関する三つの達成目標は、学校と家庭、地域が一体となって、埼玉県の子供たちを良くしていこうというすばらしい取組であり、私は、その成果を大いに期待するところでもありますが、そこで、平成十六年度にはモデル校での実践研究も行われたということですが、それらの学校ではどのような成果があったのかお聞かせください。
また、平成十七年四月から本格実施すると聞いておりますが、県ではどのように推進し、その成果を広く保護者や県民に対して示すのか、教育長にお伺いいたします。
教育行政について -2.教育に関する3つの達成目標について-
稲葉 喜徳 教育長
平成十六年度は小学校五校、中学校五校でモデル事業を実施してまいりました。
モデル校の成果といたしましては、まず学力についてでございますが、「漢字や計算を繰り返し指導することで書く力や計算する力が向上した」「古典や詩の暗唱に取り組むことで読む力や作品に親しむ態度が向上した」との報告を受けております。
また、規律ある態度につきましては、「家庭と協力して、あいさつ運動に取り組み、元気よくあいさつする子が増えてきた」、さらに体力につきましては、「一人一人に五十メートル走などの目標となる記録を示すことで進んで運動するようになった」などの報告をいただいており、着実に成果が現われ始めております。
一方で、中には目標を達成することが困難なケースもあり、「子供に対する、より個別的な指導や家庭との緊密な連携が必要である」との課題も報告されております。
次に、今後の推進についてでございますが、既に本年二月に三つの達成目標の冊子を県内小中学校の保護者全員の皆様に配布いたしました。
四月からは、モデル校の成果と課題を踏まえ、すべての小中学校で取り組むことといたしております。
このため県教育委員会では、まず市町村教育委員会、小中学校の校長会、PTAなどの関係団体との一層の連携協力の下に、学校、家庭、地域が一体となって取り組むための全県的な推進体制を整備することとしております。
さらに、各学校の取組を充実させるため、推進地域の指定や指導資料の作成、教員研修会の開催など積極的に支援を行ってまいります。
また、どのようにその成果を広く保護者や県民に対して示すかでございますが、全県的な成果を把握するため、学力については、読む、書く、計算の定着状況の調査、規律ある態度については、生活や学習習慣等に係る意識及び実態調査、体力につきましては、基礎的運動能力を測る新体力テストを実施してまいります。
その結果につきましては、平成十八年三月までに県のホームページ等を活用して公表し、保護者や県民の皆様の理解と協力を得てまいりたいと考えております。
このたびの三つの達成目標の事業は、子供たちの学力の低下問題などに対処する総合的な施策として開始するものでございます。
十分な成果を得ることできるよう鋭意取り組んでまいります。