平成17年2月定例会・一般質問《質問日:平成17年3月1日》 …質問一覧のページに戻る
環境産業の育成について
二十一世紀を迎え既に四年を経過しましたが、人類が地球上で生存を続けていくためには、人種、性別、障害の有無などの違いを乗り越えて共生していくことが大きな課題であります。
共生することは、人間同士だけでなく、環境と共生していくことも重要であります。
折しも、去る二月十六日に京都議定書が発効し、地球環境を守るために、地球温暖化防止対策に各国が協力して取り組む責務を生じました。
私たちは、今後できるだけ環境に負荷をかけないライフスタイルを確立しなければなりません。
こうした中で、我が国、我が埼玉県の発展を考えた場合、環境に対する負荷の少ない技術の開発を通じて地域経済の発展を目指す環境産業の育成が非常に重要ではないでしょうか。
日本産業機械工業会の調査によりますと、一九九八年時点での環境関連ビジネスの市場規模は約二十一兆五千億円程度でありましたけれども、二〇一〇年には約一・六倍の三十四兆一千億円にまで拡大すると予想されております。
雇用規模についても、約七十八万人から約一・五倍の百十八万人に拡大する見通しです。
日本の産業の成熟化と空洞化が問題視される中で、環境産業が成長産業の一つとして考えられます。
近年、環境規制を強化する環境関連法の整備が進んできましたけれども、環境規制が新たな環境ビジネスを生む下地となっております。
ペットボトルのリサイクルの例ですと、ペットボトルのリサイクルは容器包装リサイクル法で義務付けられましたが、法施行前のリサイクル率は三パーセントであったものが、二〇〇〇年には何と三五パーセントと世界でもトップの水準まで高まってきております。
ほかには、限りなく無公害に近い高性能小型焼却炉が開発されたり、日本が世界に誇るハイブリッドカーなどの技術開発がその一例です。
県でも本年度の環境予算の目玉の一つに、環境と経済との両立を挙げております。
本県においては、騎西町にある環境科学国際センターなどで環境保全技術の研究等が盛んに行われておりますが、それらを活用し、なお一層の官民連携による環境保全技術開発研究の推進や民間企業の技術開発支援により、環境産業振興を図るべきだと思いますが、環境防災部長の所見をお伺いします。
環境産業の育成について
今井 栄一 環境防災部長
二十一世紀は環境の世紀とも言われておりますが、議員御指摘のとおり、環境保全技術の開発研究を環境産業の育成につなげていくことは非常に重要なことでございます。
環境科学国際センターでは、現在、民間企業や大学と連携して環境保全のための共同研究を積極的に進めております。
例えば低コストで維持管理の簡単な河川の水質浄化システムの研究、寄居町にある環境整備センターを利用して廃棄物処分場の安全性を確保する技術研究、地球温暖化防止に関連して化石燃料に代わるエネルギー源としてのメタンを下水汚泥から効率的に回収するための研究などでございます。
これらの研究成果につきましては、企業と研究機関との交流の場である本庄早稲田リサーチパークフォーラムや環境科学国際センターでの研究報告会などで広く紹介しております。
また、民間への技術開発支援を目的とした環境省の環境技術実証モデル事業に参画し、平成十六年度は飲食店向けの小規模排水処理施設の実証試験を行っております。
これによりベンチャー企業の先進的環境技術が客観的に検証され、実用化と普及が図られることになります。
県といたしましては、こうした研究活動を行っている環境科学国際センターの人材と施設を活用し、新しい環境ビジネスの創出につながるよう、引き続き企業や研究機関との共同研究の拡充を図るとともに、研究成果の積極的な情報提供を行って、民間企業の技術開発を支援してまいります。